2010年09月19日

朝の定期便 2010-09-19(日)

 
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>今朝の最低気温20.7度(04:23;さいたま市観測点)、晴れ。

>おはようございます。秋の朝を迎えています。少し前まで「秋は来るのだろうか」と心配していたなんて嘘のように秋がやってきました。今日、運動会・体育祭という小中学校も多いことでしょう。

>昨夜の作曲工房日記で句点が抜け、意味が通らない文章になっていました。上村松園の第15回帝展出品作「母子」への作品評の訂正部分を全文転載します。

「芸術において新しさというものは一つの強みではあるが直ちにそれが価値になるかどうかは疑問である。帝展のなかにも時代とともに滅びる新しさが多い。それというのが表面の新しさを追うからで、新しさというものそれを不易のものとして初めて価値があるのである」

 見事に芸術の深化についての本質を突いた言葉であると思います。これを読んで、日本画の伝統の重みをひしひしと感じます。今までも書いてきたことですが、20世紀中葉からの20年間ほどは、現代音楽界が才能を潰しあってきた暗黒時代でした。高校時代、毎週放送される「現代の音楽」をカセットテープに欠かさず録音していました。なぜなら一度聴いただけでは何も分からなかったからです。その週は、そのテープを分からないまま、とにかく聴きこんでいました。それらは全て処分してしまったのですが(惜しいことをした!)、処分前に、いくつかのテープを聴きなおしたことがあります。録音から時間も経過しており、私自身も成長していたので、当時は聴こえなかったことが聴こえてきました。武満徹さんの「ムナーリ・バイ・ムナーリ」(打楽器独奏曲;演奏:ツトムヤマシタ)を聴いた時のことです。「あ・・。これは裸の王様だ」と直感しました。「ムナーリ・・」は音楽の衣装をまとっていなかったのです。ライブ録音だったので聴く人たちの咳や微妙な雑音から、会場を包み込む聴衆の皮膚感覚まで伝わってきたのです。「駄目な人には音楽の衣装が聴こえてこない」という暗黙のプロパガンダに怯える人々が必死に分かっているフリをしようと演じている感覚です。なにしろ作曲者も演奏者も超一流と目されている人たちです。現代音楽をわざわざ聴きに出かける音楽インテリゲンチャとしては、その音楽を楽しみ、陶酔しなければなりません(少なくとも悟られないようにフリだけでも)。そんなことが伝わってくる録音でした。

 もし武満徹さんが生きておられたら、この文章を読んでもお怒りになったりしないことでしょう。
「そう、あれは実験作品だったんだよ。だから拍手ではなくて正直な批評が欲しかったんだ」
 そんな感じではないでしょうか。よい聴衆とはそれができる人のことです。実験作品とは、作曲者にも判断しかねる要素を持つ作品です。そういう作品が世に出て優れた批評家に正しく評価されることによって作曲家は成長します。それを「世に問う」というのではないでしょうか。
 私が「ムナーリ・・」を実験作品と直感したのは、同じ年に書かれた同じ作曲者と演奏者による打楽器協奏曲「カシオペア」(指揮は小澤征爾?)に感銘を受けたからでしょう。最初に聴いたのは高校生になったばかりの頃で、当時はどちらの曲も理解不能でした。しかし、後年、その違いがよく分かるようになり「ムナーリ・・」の実験性に気づいたのだと思います。
 芸術において「新しさ」は常に必要です。芸術の本質をより深く表現する手段として、誰も気づかなかった新しい技法に到達することはとても大切なことですが、作曲者にとっても確信できないことがあります。そのために批評があるのに、それがきちんと機能してこなかったのが、その時代だったのではないでしょうか。
 批評の場として最も重要なのが作曲コンクールです。なぜなら受賞作品の傾向が次の応募作を生み出してしまうからです。優れたコンクールは次世代をリードする芸術家を輩出します。しかし、この半世紀、音楽愛好家とは乖離(かいり)した、狭い「現代音楽界」の仲間内で完結してしまっているように思えてなりません(全てがではなく、あくまで傾向です)。念のため、申し添えますが、現代音楽が人気とりをしたり聴衆に迎合する必要は全くありません。しかし、本当に優れた音楽は人々を陶冶して聴衆を育てていくことでしょう。また、本当に優れた音楽は難しい内容を可能な限り分かりやすく表現するはずです。これは、優れた曲では演奏の技術の難しさと音楽性が両立することと同じです。
 
 かなり批評めいたことを書きました。カチンと来た方。ガンガン反論してくださって結構です。私はあなたの意見には反論しません。それどころか、その反論を大切に掲示しつづけます。削除されても、私が再掲載します。ずっとずっと掲載し続けます。だから、それを了解なさってから投稿してください。投稿したあなたも、読者も、その文章から多くを学ぶことになるでしょう。

 真の前衛音楽なくして音楽の進歩があろうはずがありません。だから、私は基本的には前衛音楽支持の立場です。実験音楽も必要です。しかし、それを無批判に受け入れる姿勢は音楽の進歩を妨げます。私が反対するのは「裸の王様的前衛音楽の世界」です。


>気象情報

一時は“非常に強い”カテゴリーにまで成長した台風第11号 (ファナピ)も、勢力を多少おとして“強い”台風となって、台湾目前にいます。先島諸島では、家屋などに被害が出た模様です。

台風第11号 (ファナピ)

実況天気図

地域時系列予報(埼玉県)

気象衛星 赤外日本域画像

気象衛星 可視光全球画像

>昨日の最高・日最高気温は広島県 加計観測点の33.8度(14:13)、最低・日最低気温は北海道 宗谷地方 声問観測点の8.6度(22:39)、最低・日最高気温は北海道 網走・北見・紋別地方 白滝観測点の14.3度(11:57)、最高・日最低気温は鹿児島県 古仁屋観測点の28.0度(06:24)でした。

>今日のFM番組から

・午前8時00分 第77回NHK全国学校音楽コンクール 関東甲信越ブロックコンクール

番組詳細

・午後2時00分 ベストオブクラシック サンデークラシックワイド 海外オペラアワー 

シューマンの歌劇“ゲノヴェーヴァ” ほか。
解説は評論家の国土潤一さん。前にも書きましたが、カミさんの高校時代の同級生。彼自身声楽家なのでナレーションもいい声です。

番組詳細

現代の音楽 第20回芥川作曲賞選考演奏会から(1)

番組詳細

・午後7時20分 FMシンフォニーコンサート 関西フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会

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・午後9時00分 ビバ!合唱 バルト3国の合唱音楽

余談ですが、リトアニア3国は北からアイウエオ順で並んでいるので、そのように覚えておくと便利です。エストニア・ラトビア・リトアニア。木星のガリレオ衛星も同様です。木星に近い順にイオ・エウロパ・ガニメデ・カリスト。イオの内側を回る第5衛星アマルテアを加えてもアイウエオ順です。

番組詳細

>9月19日の過去のできごと

1648年 パスカルと義兄ペリエが、南仏ピュエ・ド・ドーム山頂での水銀柱の実験(高度により水銀柱の高さが異なる)により大気圧の存在を証明。
1902年 俳人・歌人の正岡子規没。
1912年 ドイツの指揮者、クルト・ザンデルリンク誕生。
1926年 宇宙物理学者の小柴昌俊誕生。
1935年 コンスタンチン・E・ツィオルコフスキー没(9月17日参照)。
1972年 フランスのピアニスト、ロベール・カサドシュ没。

 
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posted by tomlin at 12:24| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 定期便 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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